「個人再生開始決定後の手続きの流れは?」
「個人再生の認可決定後の流れとは?」
裁判所に申し立てすることで、借金を大幅に減額してもらえる個人再生。その手続きの流れは大きく、
- 個人再生の手続き申し立て前
- 個人再生開始決定後
- 個人再生認可決定後
の3つに分けられます。
申し立ての手続きは、通常弁護士や司法書士に依頼して、必要書類を作成し裁判所に提出する作業がメインです。
次に、個人再生開始決定後の手続きの流れは、主に借金額を確定して再生計画案を作成し、カード会社や裁判所に認可してもらうことになります。
いっぽう、個人再生認可決定後の手続きの流れは、個人再生認可決定の確定後、実際に借金の返済がスタートする運びです。
今回は、個人再生における認可決定後、開始決定後の手続きの流れについて説明したいと思います。

目次
個人再生開始決定後の手続きの流れ
裁判所に個人再生の申し立てを行い、各種書類の内容や、履行可能性テストの結果などを踏まえ問題ないと判断されれば、個人再生開始決定となります。
債権者一覧表の確認
個人再生の手続きがはじまると、裁判所からあなたが借金をした各債権者に対し、個人再生の開始決定書と債権者一覧表(個人再生の申し立て時に必要となる、借金をしたカード会社の内訳と借金額を一覧にしたもの)が送付され、債権届出の通知が送付されます。
なお、債権とは、特定の人に対し何か(お金も含む)を渡したり、施したりする法的義務のことで、この場合は借金の未納分のことです。
債権届出の通知を受けたカード会社は、裁判所の指定する債権届出期間中に債権者一覧表にある借金額を確認する必要があります。
この金額に異論がない場合には、カード会社側が何かする必要はありませんが、異論がある場合は、再生債権届出書を作成し裁判所に提出します。
カード会社への債権届出の依頼後、1~2か月以内に債権額の届け出が出され、それを元に借金額や取引内容を調査していくことになるのです。
債権認否一覧表および民事再生法125条1項規定の報告書を提出
債権届出期間が過ぎると、個人再生の手続きを依頼した弁護士や司法書士の所に債権届け出の結果が送付されてきますので、再生債権(個人再生で整理する借金)の内容を確認し裁判所に報告します。
なお、その際、以下2つの書類作成が必要です。
- 債権認否一覧表:債権届出書に記載されている借金額の認否を記載する書類(裁判所が必要あると認めるときに限り、東京地裁以外では提出不要とすることが多いです。)
- 民事再生法125条1項規定の報告書:個人再生手続申立の時点から現在まで、あなたの経済状況が著しく変わっていないか記載する書類
ただし、債権届出書の内容に異議がある場合、裁判所が定める一般異議申述期間中であれば、異議申し立てが可能です。
再生計画案の提出
再生債権額が確定したら、再生計画案を作成し、裁判所の指定する期限内に提出する必要があります。
再生計画案とは、返済すべき借金総額や支払い方法などの具体的な計画を記載する書類です。
なお、再生計画案を期限内に提出できなかった場合には、個人再生手続が廃止されてしまいます。
再生計画案の審議とカード会社からの意見聴取
再生計画案が提出されると、裁判所は、書面審議やカード会社からの意見聴取の実施可否などについて検討します。
小規模個人再生で手続きが行われる際には、カード会社の半数以上が再生計画案に同意できなかった場合と、反対するカード会社の借金額合計が借金総額の1/2を超える場合には、再生手続が廃止となるため注意が必要です。
個人再生認可決定
裁判所は意見書の内容を踏まえ、再生計画の認可、不認可の決定を下します。
その2週間後、再生計画の認可、不認可決定の結果が官報(政府が発行する新聞のようなもの)に掲載されます。
個人再生における、裁判所との手続きは、基本的にはここまでとなります。

個人再生認可決定後の手続きの流れ
ここからは、再生計画案が認可された後の、手続きの流れについて説明します。
個人再生認可決定の確定
再生計画の認可決定後2週間すると、その結果が官報(政府が発行する新聞のようなもの)に掲載されます。
そして、その2週間後に、個人再生認可決定が確定します。
つまり、個人再生認可決定が出て1か月後に、確定が決まることになります。
これ以降の手続きは、再生計画に基づいたカード会社への借金返済がメインです。
再生計画に基づいた借金の返済を開始
個人再生認可決定の確定後、指定された口座に借金の返済をしていきます。
支払い方法に応じて、スタートする月が以下のように異なるため注意が必要です。
- 毎月払いの場合:再生計画認可決定が確定した月の翌月から
- 3ヶ月に1回払う場合:再生計画認可決定が確定した月の3か月後から
最初の返済は、個人再生の申し立て時に行った履行可能性テスト(再生計画通り借金を返済できるかチェックするテスト期間)用に積み立てたお金を使うとよいでしょう。
なお、個人再生後の借金返済期間は原則3年間とされていますが、やむを得ない事情により返済できない状況に陥った場合には、裁判所に申し立てることで最大2年間延長してもらえる場合もあります。
個人再生開始決定後・認可決定後に預金通帳を提出する可能性
最後に、よく「個人再生の開始決定後と認可決定後に、銀行の預金通帳を提出する機会はありますか?」という質問を受けるので、回答しておきたいと思います。
個人再生開始決定後は通帳の提出を求められる可能性がある
個人再生の開始決定後、再生計画案を作成するのですが、このとき個人再生委員(裁判所が選任する、あなたが個人再生の各種手続きを行う際、指示、監督を行う人)に通帳を見せて欲しいと依頼される可能性があります。
そのため、個人再生開始決定後には、通帳を提出しなくてはいけない可能性があるといえるでしょう。
個人再生認可決定後に通帳の提出を求められることはまずない
いっぽう、個人再生の認可決定後に通帳の提出を求められることはまずありません。
認可確定後であれば、なおさらでしょう。

まとめ
- 個人再生開始決定後の手続きの流れ
カード会社による債権者一覧表の確認
↓
債権認否一覧表および民事再生法125条1項規定の報告書を提出
↓
再生計画案の提出
↓
再生計画案の審議とカード会社からの意見徴収
↓
個人再生認可決定 - 個人再生認可決定後の手続きの流れ
個人再生認可決定の確定
↓
返済開始 - 個人再生の開始決定後と認可決定後に、銀行の預金通帳を提出する機会はほぼない