「個人再生をするとしたら費用はどれくらいかかるの?」
「個人再生の費用は分割支払いできるの?」
個人再生とは、借金の利息免除と最大で5分の1まで元本の圧縮ができる債務整理です。
個人再生は裁判所を通じて行うため、あなたの抱えているすべての借金が対象となりますが、「住宅ローン特則」を利用すれば、住宅ローンだけを除外することができ、持ち家を残してその他の借金だけを圧縮することが可能です。
個人再生を行うためには、裁判費用がかかり、また、弁護士・司法書士に依頼するため、依頼費用もかかってきます。
本ページでは、個人再生にかかる費用の相場や内訳、支払い方法などについてご説明します。

目次
個人再生とは
個人再生とは、裁判所を通じて行う債務整理の一種で、借金の利息が免除されるだけでなく、元本を最大で10分の1まで圧縮することができ、その圧縮された額を原則3年(36回)で分割返済すれば、完済扱いとなる手続きです。
個人再生は原則すべての借金が対象となり、住宅ローンや自動車ローンも対象内となるため、手続きを行うと、借金が減る代わりにローン返済中の持ち家や自動車を没収されてしまいます。
しかし、住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローンだけを個人再生の対象から除外することができるため、持ち家を残して、その他の借金だけを減らすことができます。
個人再生は自分ですることもできる?
個人再生の手続きは、弁護士に依頼して行うことが一般的です。
しかし、自分で手続きを行うことも不可能ではありません。
ただし、個人再生は必要書類も多く、手続きも複雑であるため、一般の人が自力で申し立てを行うことはなかなか難しいのが現状です。
そのため、ほとんどの人は弁護士・司法書士など法律の専門家に依頼して個人再生を行います。
個人再生には、裁判費用と弁護士費用がかかる
個人再生の費用相場は、総額でおよそ40〜100万円です。
個人再生の費用は、大きく2つに分けることができます。
<個人再生の費用>
- 裁判にかかる費用
- 弁護士など専門家にかかる費用
裁判費用の相場と内訳
個人再生は裁判所を通じて行う債務整理なので、手続きを行ううえで必ず裁判費用がかかります。
裁判費用はお住いの地域によっても異なりますが、およそ30万円です。その内訳は以下のとおりです。
<裁判費用の内訳>
- 収入印紙代……1万円
- 官報(政府の発行する文書)に掲載されるための費用……1万2千円
- 郵便切手代金(連絡のための切手)……1600円
- 個人再生委員へ支払う報酬……15〜25万円
個人再生委員の選定・費用は状況によって異なる
個人再生を行う際は、あなたの借金の状況や収入など財産の状況、借金返済の意志などを調査するため、裁判所から選ばれた個人再生委員がつくことがあります。
個人再生委員が選定されるかどうかは、地域によっても異なります。
都道府県によっては自分で弁護士に依頼していれば個人再生委員が選定されない地域もありますが、東京地裁の場合は、弁護士に依頼していても、自分で行う場合でも個人再生委員が選定されます。
また、個人再生委員へ支払う報酬の額は、あなたが個人再生を弁護士に依頼して行うのか、自分で行うのかによって異なります。
あなた自身で弁護士を立てている場合、個人再生委員に支払う報酬は15万円程度です。一方、自分で申し立てを行った場合、個人再生委員に支払う報酬は25万円程度です。
履行確認テストが実施されることもある
個人再生の手続き中に「履行確認テスト」が実施されることもあります。
履行確認テストとは、あなたが計画通りに返済できるのかどうかを試すためのテストのことです。
具体的には、数ヶ月の間、個人再生委員が指定した口座へ実際にお金を振り込みます。
支払ったお金は個人再生委員へ支払う報酬として回収され、残額があれば後に返還されます。
弁護士費用の相場と内訳
前述の通り、手続きの煩雑な個人再生を安心してスムーズに行うためには、弁護士に依頼するのがよいでしょう。
個人再生を弁護士に依頼した場合、かかる費用はおよそ30〜60万円です。
もちろん、弁護士事務所によって費用は変動しますので、実際の金額は依頼する事務所にお問い合わせください。
弁護士に個人再生を依頼すると、書類の作成などほとんどの手続きを弁護士が代行してくれます。
そのため、「はじめての個人再生で不安な点が多い」「忙しくて個人再生の手続きにかける時間がない」という人は弁護士に依頼することをおすすめします。
司法書士に依頼すると費用は安いが、業務範囲が狭い
個人再生は認定司法書士に依頼することも可能です。
司法書士に個人再生を依頼する場合、費用はおよそ20〜30万円で、弁護士と比較すると安い費用で依頼できる傾向があります。
認定司法書士とは、法務省の認定を受けた司法書士のことを指します。
しかし、認定司法書士と弁護士とでは業務範囲が異なり、認定司法書士では行えない業務も発生するため注意が必要です。
司法書士は書類作成・提出を行ってくれますが、その他に必要な手続きはあなた自身が行わなければなりません。
また、司法書士が個人再生に関われる条件として、カード会社1社に対する借金額が140万円以内でなければならないというルールがあるため、1社に対する借金が140万円よりも高額な人は、司法書士に依頼することはできません。
住宅ローン特則を利用すると、費用が上乗せされる
「住宅ローン特則」は個人再生の大きなメリットの1つです。
個人再生から住宅ローンだけを除外することができ、持ち家を残してその他の借金だけを圧縮することができます。
住宅ローン特則を利用する場合、その分書類作成が多くなるため、弁護士・司法書士へ支払う費用が5〜10万円ほど上乗せされます。
⇒個人再生を弁護士・司法書士に依頼/業務内容や費用の違いを解説
⇒個人再生の手続きの流れ/裁判所を介する個人再生の手続きは大変?

個人再生の弁護士費用は分割払いにできる
個人再生を行う人のほとんどは、お金に困っていますので、費用を一括で支払う余裕がありません。
そこで、多くの弁護士・司法書士事務所では、個人再生にかかる費用の後払い、分割支払などを提案してくれます。
また、個人再生が認められたあとは、圧縮された借金の返済が待っていますので、借金返済と弁護士費用の支払い時期がかぶらないよう、工面してくれる事務所もあります。
「費用を支払いきれるかどうか不安」という人は、手続前の相談の段階で事務所に相談してみるとよいでしょう。
なお、費用が支払えないからといって新たにカード会社から借金をしたりすると、個人再生を取り消されてしまう可能性がありますので、くれぐれも新たに借金を増やさないようにしましょう。
まとめ
- 個人再生には裁判費用と弁護士・司法書士費用がかかる
・裁判費用の相場はおよそ30万円
(個人再生委員への報酬は各都道府県によって異なるので注意)
・弁護士費用は30〜60万円、司法書士費用は20〜30万円
(司法書士の方が安いが、業務に制限がある)
・「住宅ローン特則」を利用すると、弁護士・司法書士費用が5〜10万円上乗せされる - 弁護士・司法書士費用は後払い、分割支払が可能
・支払いがきびしいと感じたら、事前に事務所に相談するとよい