「個人再生の必要書類とは?」
「個人再生するために準備が必要な書類は?」
裁判所に申し立てすることで、借金を大幅に減額してもらえる個人再生。
借金を1/5~1/10まで減額してもらえ、残りを原則3年間で返済すれば完済扱いにしてもらえる手続きです。
しかし、個人再生は裁判所を介する手続きであるため、厳格なルールや手続きに則って進められます。
そのため、非常に多くの必要書類を準備しなくてはいけません。
必要書類は、
- 裁判所から取り寄せるもの
- あなた自身が集めるもの
- 個人再生の申し立て後に必要になるもの
の大きく3つに分けられます。
なお、個人再生の手続きは、弁護士や司法書士にお願いするのが一般的なのですが、その理由のひとつが必要書類を集めたり、記載したりする作業を任せられるという点にあります。
今回は、個人再生をする場合の必要書類について紹介しますので、これから個人再生しようとする人は参考にしてみてください。

目次
- 1 個人再生する準備として裁判所から取り寄せる必要書類
- 2 あなた自身が準備する個人再生申立時の必要書類
- 2.1 委任状:個人再生の手続きを弁護士や司法書士にお願いしたという証明書
- 2.2 戸籍謄本:戸籍に登録された人の全員の身分を証明する書類
- 2.3 住民票:住民の居住関係を証明する書類
- 2.4 給与明細書:毎月の給料の明細書
- 2.5 退職金見込み額証明書:会社を辞めた際にもらえる退職金の見込額を証明する書類
- 2.6 所得課税証明書:納めた税金の総額を証明する書類
- 2.7 通帳のコピーまたは取引履歴明細書
- 2.8 事業収支実績表:過去の事業収支を証明する書類
- 2.9 可処分所得算出シート
- 2.10 自動車関連の書類(車検証のコピー・登録事項証明書・車の査定書)
- 2.11 公的扶助の受給を証明する書類(年金通知書・児童手当支給決定書など)
- 2.12 保険証券:保険契約後に保険会社から交付される保険の契約内容を証明する書類
- 2.13 固定資産評価証明書:不動産の物件価値を証明する書類
- 2.14 賃貸借契約書:賃貸物件を借りる際に大家さんと締結する契約書
- 2.15 証券:株やゴルフ会員権などの権利や義務について記載した書類
- 3 住宅ローン特則を利用する際に準備する必要書類
- 4 個人再生申立後に準備する必要書類
- 5 手続きは弁護士・司法書士に依頼するべき
- 6 まとめ
個人再生する準備として裁判所から取り寄せる必要書類
まず、裁判所から取り寄せる、個人再生の申立てに必要な書類は以下の通りです。
申立書:個人再生の申立人を特定する書類
申立書とは、個人再生の申立人を特定するために住所や氏名、連絡先などを記載した書類です。
陳述書:申立人の収入・職業・財産・個人再生に至った理由などを申告する書類
陳述書とは、個人再生の申し立てをする人の収入や職業、財産といった収入の状況や、家族関係、現在住んでいる住宅に関する情報などを記述する書類です。
また、個人再生の申立に至った理由も記載する必要があります。
会社勤めの場合には、毎月の手取り収入と過去1年分の賞与金額を記載します。
自営業者や個人事業主の場合は、事業の詳細および、過去1ヶ月あたりの所得を記載することが必要です。
債権者一覧表:借金をしたカード会社の一覧表
債権者一覧表とは、あなたが借金をしたすべてのカード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)を一覧表にしたものになります。
借金をした全カード会社の名称や住所、連絡先、借入金額、借入期間の記載が必要です。
家計表:世帯全体の収支を記録した家計簿
家計表とは、申立人の世帯全体における収支を記録する書類で、いわゆる家計簿になります。
そのため、世帯全体分の収入と支出を記載が必要です。
収入は、申立人以外にも収入がある場合には、そちらの毎月の給与総額を記載する必要があります。
支出に関しては、家賃や食費、光熱費、保険代といった生活費に加え、住宅ローンやカード会社への借金返済額などについても記載しなくてはなりません。
財産目録:申立人が保有する財産の一覧表
財産目録とは、あなたが保有する財産をすべて記載した一覧表のことです。
現金や預貯金、不動産、保険、自動車といったお金に換えられる財産を記載する必要があります。
なお、自営業者や個人事業主の場合には、売掛金も財産扱いになるため記載が必要です。
あなた自身が準備する個人再生申立時の必要書類
次に、あなた自身が準備する必要がある必要書類を紹介します。
委任状:個人再生の手続きを弁護士や司法書士にお願いしたという証明書
弁護士や司法書士といった専門家に個人再生の手続きをお願いする場合には、委任状を書いて渡す必要があります。
とはいえ、弁護士事務所などに行けば、ひな形があるのが普通ですので、そちらに必要事項を記載して署名、押印すればOKです。
戸籍謄本:戸籍に登録された人の全員の身分を証明する書類
戸籍謄本は、3ヶ月以内に発行したもので、世帯全員分のものが1通必要になります。
住民票:住民の居住関係を証明する書類
住民票とは、その地域に住む人の住所や氏名、生年月日といった、住民の居住関係を証明する書類のことです。
発行日から3ヶ月以内の、世帯全体分のものが必要となります。
給与明細書:毎月の給料の明細書
個人再生をはじめる前の、直近3ヶ月分の給与明細が必要になりますので、個人再生を検討している人は、申し立てをする前から準備しておく必要があります。
退職金見込み額証明書:会社を辞めた際にもらえる退職金の見込額を証明する書類
退職金見込み額証明書とは、会社を退職した場合に、いくら退職金がもらえるのか試算した書類のことです。
お勤めの会社の人事部などに問い合わせれば、発行してもらえるでしょう。
⇒個人再生すると退職金も財産(清算価値)扱い?!見込み退職金とは?
所得課税証明書:納めた税金の総額を証明する書類
所得課税証明書とは、あなたの所得に対してどれだけ税金を納めたのかを証明する書類です。
直近、2年分を提出する必要があります。なお、自営業や個人事業主の場合には、確定申告書を提出すればOKです。
通帳のコピーまたは取引履歴明細書
お金の出入りを証明するために、過去2年分の通帳のコピーを提出する必要があります。
なお、通帳をなくした場合や、WEB口座の場合には、銀行にお願いして取引履歴明細書を発行してもらいましょう。
事業収支実績表:過去の事業収支を証明する書類
事業収支実績表とは、自営業者や個人事業主が個人再生する際に必要な書類です。
過去の事業修正の状況を報告することで、個人再生後の借金を返済可能か判断するために利用されます。
可処分所得算出シート
個人再生の手続きには、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2種類があります。
小規模個人再生は個人再生をするほとんどの人が行う手続きですが、給与所得者等再生はサラリーマンや公務員といった給与所得がある人しか使えない手続きです。
また、給与所得者等再生で手続きを行った場合には、申立人の可処分所得額が個人再生の借金減額率に大きな影響を与えるため、その金額を申告する必要があります。
可処分所得額とは、毎月給料から、税金や家賃、食費、光熱費、保険代などを抜いて残った自由に使えるお金です。
この可処分所得額がいくらか計算するときに使用するのが、可処分所得額算出シートになります。
自動車関連の書類(車検証のコピー・登録事項証明書・車の査定書)
車を持っている場合には、車検証のコピーと登録事項証明書、車の評価額を示す査定書を提出する必要があります。
なお、登記事項証明書は、運輸支局か自動車検査登録事務所、車の査定書は、「日本自動車査定協会」に問い合わせて準備しましょう。
公的扶助の受給を証明する書類(年金通知書・児童手当支給決定書など)
年金や児童手当、扶養家族の場合には、公的扶助を受けていることを証明できる書類の提出が必要です。
そのため、
- 年金受給者:年金通知書
- 児童手当受給者:児童手当支給決定書
- 扶養家族:同居人の給与明細書
を準備する必要があります。
保険証券:保険契約後に保険会社から交付される保険の契約内容を証明する書類
個人再生において、保険を解約した際に戻ってくる解約返戻金は財産として扱われます。
したがって、保険の内容を証明する保険証券と保険の解約返戻金証明書を提出する必要があるのです。
固定資産評価証明書:不動産の物件価値を証明する書類
個人再生をする際には、今住んでいる住居がどんなものなのか申告する必要があります。
住宅を持っている場合には、固定資産評価証明書の提出が必要です。
固定資産評価証明書は、お住まいの地域の区役所などで発行してもらえます。
賃貸借契約書:賃貸物件を借りる際に大家さんと締結する契約書
マンションやアパートといった賃貸物件に暮らしている場合は、賃貸借契約書の提出が必要です。
なお、知り合いの家に住まわせてもらっているような場合には、賃貸借契約書がありません。
したがって、そのような場合には、「居住証明書」を発行してもらう必要があります。
また、社宅住まいの場合には、社宅証明書の提出が必要です。
証券:株やゴルフ会員権などの権利や義務について記載した書類
株やゴルフの会員権、また有価証券などを持っている場合には、その証券のコピーを提出する必要があります。
ただし、証券を見ただけで価値が判断できない場合には、価値を証明するための証明書も追加で必要です。

住宅ローン特則を利用する際に準備する必要書類
個人再生の住宅ローン特則という制度を利用する場合には、別途必要書類があります。
住宅ローン特則とは、住宅ローンが残った自宅を手放すことなく、借金を減額してもらえるという個人再生特有の制度です。
ただし、住宅ローンの返済は従前通り残ることになるため、個人再生後に減額された借金の返済と並行して支払う必要があります。
したがって、その点も考慮した上で、住宅ローン特則の利用を検討する必要があるのです。
弁済許可申立書:住宅ローンの返済を許可してもらうための書類
個人再生には、債権者平等の法則という「すべてのカード会社を平等に扱う必要がある」ルールがあるため、原則としてすべての借金が整理対象になります。
そのため、一部のカード会社の借金だけを返す偏頗弁済(へんぱべんさい)は禁止事項です。
しかし、住宅ローンに限っては、弁済許可申立書を提出することによって返済が可能になっています。
住宅ローンの契約書
住宅ローン特則を利用する場合には、住宅ローンを組んだカード会社と締結した契約書を提出する必要があります。
住宅ローンの償還予定表(返済予定表)
住宅ローンの償還予定表(返済予定表)とは、今後の住宅ローンの返済予定額が書かれた書類です。
住宅ローンを組むと定期的に送られてきますので、保管しておきましょう。
保証委託契約書:住宅ローンの保証会社との契約書
保証委託契約書とは、住宅ローンを組む際に、ローンの保証会社と締結する保証契約です。
通常、住宅ローンを組む際には、何らかの理由によってあなたがローンの返済ができなくなるリスクを回避するため、保証会社を付けることが一般的なため、こちらの契約書も必要になります。
不動産の登記簿:土地や建物の所有者や権利関係などが記された書類
保有する不動産の登記簿も必要になります。登記簿とは、土地や住宅やマンションといった建物の場所や大きさ、間取りといった情報や、その物件の権利関係などが記載された書類です。
固定資産税評価証明書:不動産の物件価値を証明する書類
固定資産評価額証明書とは、区町村役場に保管されている固定資産課税台帳に登録されている不動産の物件価値を証明する書類です。
これにより、不動産の客観的価値を確認することができます。
個人再生申立後に準備する必要書類
個人再生申立後にされた後にも、いくつか書類を準備する必要があります。
財産状況等報告書:財産目録に記載がない財産の申告書
個人再生の申し立てが裁判所に認められると、再生手続きが開始されます。
このとき、申立ての際に提出した財産目録の中に記載しなかった財産がある場合には、財産状況等報告書でその旨を報告する必要があるのです。
ただし、申立てした際と状況が変わっていない場合は、「財産目録に記載した通り」というチェックボックスに記しを付けましょう。
債権否認一覧表:カード会社が主張した借金額に異議を唱えるための書類
個人再生の申し立て時に裁判所に提出した債権者一覧表の内容は、カード会社にも共有されます。
その後、カード会社は「債券届」と呼ばれるカード会社が主張する借金額を記載した書類を裁判所に送るのですが、申立人とカード会社が主張する借金額が違う場合があるのです。
この債券届を申立人自身が確認し、異議がある場合には、債権否認一覧表の中にある「認めない額」に記載する必要があります。
異議書申述書:債権者否認一覧表の内容に異議申立する場合に必要な書類
前述した債権否認一覧表の「認めない額」に記載して異議を述べる場合には、債権否認一覧表とは別に異議申述書を裁判所に提出する必要があります。
提出された異議申述書は、カード会社にも共有される運びとなるのです。
再生計画案:個人再生後の借金返済計画書
個人再生で借金を減額してもらうためには、裁判所に再生計画案の認可をもらう必要があります。
したがって、再生計画案の内容が、個人再生の成否に大きく影響するのです。
個人再生では、減額された借金を原則3年間で返済していく必要があるため、3年分の分割払いでの返済計画を立てます。
ただし、現実的に返済可能な計画にすることが重要です。
弁済計画表:カード会社ごとにいつ・どれだけ返済するのか記載した書類
再生計画案の添付書類として、弁済計画表を提出する必要があります。
弁済計画表とは、カード会社ごとに、いつまでに、どのくらいの金額を返済していくのか記載した書類です。
手続きは弁護士・司法書士に依頼するべき
今回紹介したように、個人再生する場合には、非常にたくさんの書類を準備し、記載していく必要があります。
そのため、書類を集めるのも大変ですが、これらを抜けもれなく正確に内容を記載していくのは、非常に困難でしょう。
しかし、弁護士や司法書士といった専門家に手続きを依頼すれば、書類の収集や記入、アドバイスなどをほとんどすべて対応してもらうことが可能です。
そのため、あなたの負荷が下がるだけでなく、正確に手続きを進めてもらえるため、個人再生が成功する確率も高くなります。
個人再生を検討している人は、まず弁護士や司法書士といった専門家に相談するようにしましょう。
⇒個人再生の概要について詳しくはこちら
⇒個人再生を弁護士・司法書士に依頼/業務内容や費用の違いを解説

まとめ
■個人再生する準備として裁判所から取り寄せる必要書類
・申立書・陳述書・債権者一覧表・家計表・財産目録
■あなた自身が準備する個人再生申立時の必要書類
・委任状・戸籍謄本・住民票・給与明細書・退職金見込み額証明書・所得課税証明書・通帳のコピーまたは取引履歴明細書・事業収支実績表・可処分所得算出シート・自動車関連の書類・公的扶助の受給を証明する書類・保険証券・固定資産評価証明書・賃貸借契約書・証券
■住宅ローン特則を利用する際に準備する必要書類
・弁済許可申立書・住宅ローンの契約書・住宅ローンの償還予定表・保証委託契約書・不動産の登記簿・固定資産税評価証明書
■個人再生申立後に準備する必要書類
・財産状況等報告書・債権否認一覧表・異議書申述書・再生計画案・弁済計画表