「個人再生しても引っ越しはできるのか?」
「個人再生が引っ越しに与える影響とは?」
個人再生は、借金を大幅に減額してもらい、残った借金を3年間で返済できれば、裁判所に完済扱いにしてもらえる手続きです。
ただし、個人再生すると、信用情報に事故情報として登録されるため、引っ越し先の物件を貸してくれる大家さんや不動産屋に個人再生した事実がバレて、引っ越しに悪影響を与える可能性があるかもしれないと考える人も多いようです。
しかし、安心してください。
個人再生しても、引っ越しすることは可能です。
とはいえ、賃貸物件に引っ越す場合には、いくつか注意しておくべき点もあります。
そこで今回は、個人再生後に引っ越しができる理由や、賃貸物件に引っ越す際の注意点などについて解説したいと思います。

目次
個人再生しても引っ越しできるのか?
まず、個人再生しても引っ越しできるのか説明します。
個人再生しても引っ越しできる
結論から言えば、個人再生しても引っ越しをすること自体に問題はありません。
よって、個人再生しても引っ越しはできます。
個人再生の手続き中に引っ越しする場合の注意点
個人再生の手続き中に引っ越しをしたい場合には、裁判所と手続きをお願いした弁護士や司法書士といった専門家に、引っ越しすることを伝えるようにしましょう。
なぜなら、個人再生は、裁判所に申し立てすることで借金を1/5~1/10程度まで減額してもらえるのですが、残った借金を原則3年間で返済しないと完済扱いにしてもらえません。
したがって、引っ越しにかかる費用が返済にどのように影響するのかについて、きちんと説明しておく必要があるのです。
引っ越しにかかる費用が原因で、借金の返済ができそうにないとみなされた場合には、個人再生の手続きの申し立ては棄却されるため、再生計画案を提出しても否認される可能性が高いでしょう。
つまり、個人再生できなくなるため、借金を減額してもらえなくなるわけです。
また、再生計画が認可されて、個人再生の手続き認可が確定すれば裁判所の関与はなくなるため引っ越しすることを報告する義務はありませんが、カード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)によっては借金を完済した後、完済通知書や借用書原本といった書類を送ってくる場合もありますので、念のため連絡しておいたほうが無難でしょう。
個人再生しても賃貸住宅は借りられるのか?
先ほど、個人再生しても引っ越しをすること自体に問題はないと説明しましたが、間接的に影響を与える可能性はあります。
個人再生するとブラックリストに載る
個人再生すると、あなたとカード会社の取引の記録である「信用情報」に事故情報として登録されます。
その結果、5年~10年程度の間、カード会社から新たな借入ができなくなる、俗に言う「ブラックリストに載った」状態になるのです。
なお、ブラックリストに載ると以下のようなデメリットがあります。
- クレジットカードの新規発行と利用ができない
- 自動車ローン、住宅ローンといったローンが組めなくなる
- キャッシングできなくなる
- リボ払いや分割払いができなくなる
- ローンや奨学金などの保証人になれなくなる
事故情報は5年~10年が経過すれば、信用情報から抹消されますので、その後は再びカード会社から借入できるようになります。
ただし、個人再生の整理対象になったカード会社やその関連会社からの借入は、できないと思っておいたほうがよいでしょう。
では、ブラックリストに載ることが、引っ越しにどう影響するのか、以下で説明していきたいと思います。
個人再生しても基本的に賃貸住宅は借りられる
ブラックリストに載ると、アパートやマンションといった賃貸住宅の契約に悪影響を与える可能性があるのではないかと思う人が多いようです。
しかし、信用情報を見ることができるのは、信用情報を収集、管理する「信用情報機関」と、カード会社やローン会社、銀行などに限定されます。
したがって、一般の不動産会社などでは信用情報を見ることはできませんので、あなたが個人再生した事実が知られる可能性は低いのです。
したがって、賃貸住宅の賃貸契約や契約更新では、個人再生の経験有無は審査の対象外になっているため、個人再生しても基本的には賃貸住宅を借りられます。
なお、“基本的には”と言った理由については、事項で説明したいと思います。
個人再生が引っ越しに影響を与えるケース
個人再生が引っ越しに影響を与えるのは、契約内容にクレジットカード会社や保証会社などが関わっている場合です。
家賃の支払いがクレジットのみのケース
最近、アパートやマンションといった賃貸物件の中には、家賃の支払いがクレジットカードのみに限定されるものがあります。
前述した通り、個人再生するとクレジットカードが利用できなくなるため、5年~10年程度経過して事故情報が消えるまでは、こうした物件の新規契約や契約更新は非常に難しいでしょう。
よって、個人再生すると、家賃の支払いがクレジット払いのみの賃貸物件への引っ越しは困難です。
契約時にクレジットカードの申し込みを求められるケース
賃貸物件のオーナーや不動産会社の中には、賃貸契約時に特定のクレジットカードへの入会を求められるケースもあります。
これは、家賃滞納のリスクを回避するために、クレジットカードの契約が可能かどうかを確認することで、顧客の与信調査を行うことが目的になっているからです。
したがって、個人再生すると、契約時にクレジットカードの申し込みを求められる賃貸物件に引っ越すのは困難になります。
保証会社が信用情報を確認するケース
賃貸契約をする際、保証人を立てない場合には、保証会社を利用することがあります。
通常の保証会社であれば、信用情報を確認することはできません。
しかし、保証会社の中には、独自に信用調査を行うところもあるため、個人再生の事実がバレることがあるのです。
その場合には、賃貸契約の審査に通過するのが困難になるため、その賃貸物件には引っ越しできなくなる可能性が高いでしょう。

個人再生後に賃貸物件に引っ越すコツ
最後に、個人再生した後、スムーズに賃貸物件に引っ越す方法を、いくつか紹介しておきたいと思います。
家賃が現金払いOKの物件を探す
前述したような、家賃の支払いがクレジットカードのみという賃貸物件に引っ越すのは厳しいですが、家賃を現金や口座振替で支払えるえる物件もたくさんあります。
そのため、個人再生後に引っ越しをする場合には、家賃が現金払いでもOKな物件を探すがおすすめです。
保証会社を変更してみる
先ほど、独自の方法で信用調査を行う保証会社があると紹介しましたが、審査に落ちてしまった場合は、別の保証会社に変えてみるというのもひとつの方法です。
どんな項目を判断基準にするかは保証会社ごとに異なるため、ある保証会社はNGでも別の保証会社ならOKというケースも十分ありえます。
よって、最初の保証会社の審査に落ちたからといって、すぐに諦める必要はないのです。
大家さんとの直談判にチャレンジ
家賃滞納のリスク回避のため家賃をクレジットカード払いにしている賃貸物件は多いのですが、実はデメリットもあります。
なぜなら、決済手段にクレジットカードを利用する場合には、クレジット会社に手数料を支払う必要があるからです。
そのため、大家さんに入る収入は、手数料が差っ引かれたものになります。
しかし、家賃を直接現金で支払ってもらえれば、手数料がかからないため、大家さん的にはより多くの利益を得ることができるのです。
したがって、個人再生後も家賃を現金できちんと支払っていける見込みがある場合には、大家さんと直接交渉して家賃を現金払いにしてもらえるようお願いしてみるのもよいでしょう。
困ったときは弁護士や司法書士に相談
個人再生後や手続きの最中に引っ越しする際、何か困ったことがあった場合には、手続きをお願いした弁護士や司法書士に相談するのがよいでしょう。
特に、賃貸契約のトラブルで引っ越しが思うようにできないときは、法律のプロである弁護士に相談すれば、あなたにとって最適な方法をアドバイスしてくれることでしょう。
繰り返しになりますが、一人で悩んだり、引っ越ししたことを内緒にしたりすることだけは、絶対にNGです。
⇒個人再生を弁護士・司法書士に依頼/業務内容や費用の違いを解説

まとめ
- 個人再生しても引っ越しをすること自体は可能
- 個人再生の手続き中に引っ越しをしたい場合には、裁判所と手続きをお願いした弁護士や司法書士に、引っ越しすることを伝えるべき
- 個人再生しても基本的に賃貸住宅は借りられるが、ブラックリストに載るため以下のケースは要注意
└家賃の支払いがクレジットのみのケース
└契約時にクレジットカードの申し込みを求められるケース
└保証会社が信用情報を確認するケース - 個人再生後に賃貸物件にスムーズに引っ越すためには、以下の方法がおすすめ
└家賃が現金払いOKの物件を探す
└保証会社を変更してみる
└大家さんとの直談判にチャレンジ