「個人再生をしたら最低弁済額を支払えばいいの?」
「最低弁済額と計画弁済額の違いは何?」
個人再生とは裁判所を通じた債務整理の1つで、借金の利息免除のほか、元本の圧縮が可能です。
個人再生には、「最低弁済額」「計画弁済額」など専門的な用語が多く、「実際のところ個人再生をしたら、借金はどれくらい減るの?」と混乱する人も多いです。
本ページでは、最低弁済額や計画弁済額など個人再生ならではの用語の解説や、個人再生後の支払い額の決まり方についてご説明します。
目次
個人再生の最低弁済額とは?
個人再生の最低弁済額とは、法律で定められた借金総額別の元本の圧縮幅のことをいいます。
個人再生は借金総額が5000万円以内の人向けの債務整理で、借金総額の金額に応じて、以下のように最低弁済額が設定されています。
<個人再生の最低弁済額とは?>
たとえば、借金総額が1000万円の人の場合、最低弁済額は1000万円の5分の1ということになり、200万円です。
借金総額が1000万円の人が個人再生をすると、元本が最大で200万円まで圧縮されるということになります。
計画弁済額とは?―個人再生手続き後の支払い額のこと
一方、計画弁済額とは、個人再生手続きによって決定した最終的な支払い額のことをいいます。
前述のとおり、1000万円の借金をしている人が個人再生を行う場合、最低弁済額は200万円です。
しかし、計画弁済額も200万円になるとは限りません。
以下では、計画弁済額がどのようにして決まるかを「小規模個人再生」「給与所得者再生」に分けて、ご説明します。
小規模個人再生の場合
小規模個人再生の場合、計画弁済額は最低弁済額と清算価値のうち、より高額な方に設定されます。
まずは、清算価値とはなにかについてご説明します。
清算価値とは?
清算価値とは、その人の持つ財産をお金に換算した場合の総額のことをいいます。
その人の持つ財産とは、預金などのお金はもちろん、自動車・家具・高級品など時価20万円以上の価値がある財産も含まれます。
1000万円の借金を個人再生する場合
繰り返しになりますが、1000万円の借金を個人再生する場合、最低弁済額は200万円です。
あなたの清算価値が200万円以下である場合、最低弁済額=計画弁済額ということになり、個人再生後の返済額は200万円で済みます。
一方、清算価値が仮に300万円あったとしましょう。
その場合は、清算価値が最低弁済額よりも高額になるため、清算価値=計画弁済額ということになり、個人再生後の返済額は300万円になります。
このように、もっている財産が高額であればあるほど、計画弁済額は高額になってしまいます。
給与所得者再生の場合
給与所得者再生の場合、計画弁済額は最低弁済額と清算価値に加え、可処分所得2年分の3つのうち、より高額な方に設定されます。
まずは、可処分所得2年分とはなにかについてご説明します。
可処分所得2年分とは?
可処分所得2年分とは、年収から生活費を引いた額の2年分のことを指します。
たとえば、年収が600万円で食費・光熱費・税金などの生活費が400万円の人の場合、600万円-400万円で可処分所得1年分は200万円となり、可処分所得2年分は400万円ということになります。
1000万円の借金を個人再生する場合
小規模個人再生のときと同様に、給与所得者再生で1000万円の借金を個人再生する場合でも、最低弁済額は200万円です。
清算価値・可処分所得2年分がともに200万円を下回る場合は、最低弁済額=計画弁済額ということになり、個人再生後の返済額は200万円で済みます。
しかし、たとえば清算価値が300万、可処分所得2年分が400万円だったとしましょう。
この場合、最も高額な可処分所得2年分=計画弁済額に設定されるため、個人再生後の返済額は400万円となります。
このように、給与所得者再生は小規模個人再生と比較すると、可処分所得2年分という要素が加わる分、計画弁済額が高額になりやすいという特徴があります。
個人再生後の弁済期間はどれくらい?
個人再生後の支払額(計画弁済額)の弁済期間は、手続き後、一般的には3年です。
しかし、3年で完済することが難しい場合には延長申請を行うことができ、裁判所がこれを認めれば、最長で5年まで延期が可能です。
弁済期間を延長することにより、月々の支払額を少なくでき、無理のない返済が可能になります。
まとめ
■個人再生の最低弁済額とは、法律で定められた金額ごとの圧縮の最大値
・借金総額が100〜500万円……100万円まで圧縮可能
・借金総額が500〜1500万円……借金総額の5分の1まで圧縮可能
・借金総額が1500〜3000万円……300万円まで圧縮可能
・借金総額が3000〜5000万円……借金総額の10分の1まで圧縮可能
■計画弁済額とは、個人再生手続きによって決定した支払額のこと
・個人再生後は計画弁済額を分割して支払っていくことになる
■計画弁済額は個人再生の種類によって決まり方が異なる
・小規模個人再生の場合、最低弁済額と清算価値のうちより高額な方が計画弁済額となる
・給与所得者再生の場合、最低弁済額と清算価値と可処分所得2年分のうち最も高額なものが計画弁済額となる
■個人再生後の弁済期間は原則3年
→延長申請を行い、裁判所に認められれば最長5年まで延期が可能