「リフォームローンがある場合に個人再生するとどうなる?」
「住宅ローン特則を利用してリフォームローンの返済を続けることはできるの?」
住宅のリフォームと一口に言っても、長年暮らしていた自宅の老朽化による大規模な工事から、一部バリアフリーに変える小規模なものまで様々なリフォームが必要なケースがあります。
また、リフォームが大規模なものになればなる程、住宅購入時と同じ様に高額な資金が必要。
この記事を見ている方は、恐らく既にリフォームによるローンを含めた借金の返済が苦しくなっているのではないでしょうか?
自宅のリフォームのためにローンを組んだはいいが、工事費用等にかかる金額が予想以上に大きくなり、借金の返済が困難となる場合は実際にあります。
ましてや、子供の教育ローンを借り入れていたり、その他金融機関による融資やクレジットカードのキャッシング等、返済すべき借金が他にもある場合には返済が非常に厳しくなるでしょう。
こうした状況で、個人再生を検討した場合、リフォームローンに住宅ローン特則は適用できるのでしょうか?
今回は、リフォームローンが個人再生の住宅ローン特則の対象となるのかについて説明していきます。

目次
住宅ローン特則とは
住宅ローン特則の正式名称は「住宅資金貸付債権に関する特則」というものであり、個人再生で借金を整理する人が自宅を失わないように作られた制度です。
この制度を適用されれば、住宅ローンの返済は期間を延長するなどして引き続き支払いをしながら、その他のローンやキャッシング、クレジットカード等による借金を減額できます。
住宅ローン特則が適用されるためには、例えばあなたが主に居住している自宅用の不動産であることであったり、住宅ローン以外の抵当権設定登記や差押登記が無い等様々な条件を満たしている必要があるのです。
住宅ローン特則を利用するための主な条件は以下のようなものがあります。
1.再生債務者についての要件
・再生債務者(=個人再生をする人)が法人ではなく個人であること
・再生債務者が自分の居住用の住宅を所有していること
2.住宅についての要件
・建物の床面積の半分以上が、居住用として使用されていること
・住宅に、住宅ローンの債権者または保証会社の抵当権のみが設定されていること
・住宅以外の不動産(敷地など)にも住宅ローンの抵当権が設定されている場合には、その抵当権よりも優先順位の低い抵当権などが設定されていないこと
3.住宅ローンに関する要件
・住宅(敷地を含む)の新築、購入、リフォームに必要な資金の借入であること(借り換えも可)
・分割払いであること(一括払いでないこと)
その他の条件として、住宅ローンが保証会社により代位弁済された場合には、代位弁済後6ヶ月が経過するまでに再生手続開始の申立をする等、個人再生そのものが手遅れとならないようにする制約もあります。
⇒住宅資金特別条項とは?個人再生で自宅を守るための住宅ローン特則!
リフォームのためのローンは住宅ローン特則が適用される
住宅ローン特則の条件の一部として、「住宅(敷地を含む)の新築、購入、リフォームに必要な資金の借入であること」があります。
つまり、対象となるローンは住宅ローンかリフォームローンのみであり、その他のローンには適用されません。
詳細は後述しますが、主な注意事項として、リフォームローンの場合には抵当権が必要となります。
リフォームローンと住宅ローンの違い
住宅ローン特則で利用出来るローンの種類は、住宅ローンかリフォームローンの2種類であるが、両者の違いとはどのようなものであるのでしょうか。
以下に主な特徴を挙げていきます。
住宅ローンの特徴
・借入可能金額が高い (上限額5000万~1億円程度)
・借入期間が長い (最長30~35年)
・金利が安い(1~2%前後)
・団体信用生命保険加入必須
・担保が必要
リフォームローンの特徴
・借入可能金額が低い (上限500~1000万円程度)
・借入期間が短い (最長10年~15年)
・金利が高い (2~5%前後)
・担保が不要な場合が多い
これらの特徴から分かるように、リフォームローンは借入期間が10年~15年と短めなのが特徴でありますが、その分金利もマイカーローンやフリーローン並みに高くなります。
そのため高金利のリフォームローンは月々の返済額も割高になりがち。
無計画に返済プランを組んでしまうと、借金の返済が後々苦しくなる要因となり得るのです。
また、リフォームローンの手続きが住宅ローンと比較して簡単な理由の一つに、無担保でも借り入れが可能である場合が多い点が挙げられます。
しかし、リフォームローンで住宅ローン特則を適用させる場合には抵当権が設定されているローン、つまり有担保のものである必要性があります。
次に、有担保ローンと無担保ローンの特徴について見ていきましょう。
有担保ローンと無担保ローン
ローンには担保の観点から2種類あります。
1つ目は有担保ローンであり、ローンを提供している債権者、つまり住宅ローンを貸し出す金融機関が、債務者であるあなたから借金の回収が出来なかった場合、予めあなたが借りた金額と同程度の価値の物を債権者に担保として提供します。
有担保ローンを利用すると貸し倒れリスクを最小限にするため、万が一の場合にローンを貸し出した金融機関は、担保資産を競売によって売却をして得たお金を借金の返済に充てる事が可能となるのです。
住宅ローンはその代表格。
2つ目は無担保ローン。
無担保ローンを選択した場合、あなたがローンを組むために、何かしら担保を債権者に差し出す必要はありません。
さらに、こちらには早く融資を受ける事が可能等のメリットがあります。
だが、無担保であるため借りられる金額が有担保に比べて少額であったり、金利が高くなる等のデメリットも。
無担保ローンは、例えば住宅リフォームローンや、教育ローンなどの目的別ローンなどが挙げられます。
リフォームローンは抵当権のあるものが対象となる
抵当権とは
有担保ローンのリフォームローンを借りた場合、担保物件(土地や建物)には「抵当権」または「根抵当権」といった権利設定が行われます。
抵当権を設定すると、あなたがその土地や建物を継続して使用出来る代わりに、ローンを貸し出している債権者はあなたが約束通り返済履行をしない場合、その担保物件を競売により換価し債権回収に充てる事が出来ます。
住宅ローン特則を適用させるためのポイント
リフォームに使うローンとして、中古物件購入や借り換え時に合わせるなら住宅ローン、手続きが比較的簡単な事からリフォームローンを借りるといったように、一般的には住宅ローンとリフォームローンの2種類から選ぶ事に。
他にもカードローンやフリーローンなども使途が自由であるため、リフォーム用に使う事は可能ではあるが、金利が非常に高いため現実的ではないでしょう。
また、既にあなたが住宅ローンを利用している場合は、無担保ローンしか選択が出来ないため、この場合は必然的に無担保のリフォームローンを借りることとなります。
住宅ローン特則を適用させる場合は、抵当権がある事が必須条件です。
そのためのポイントとして、まずは現在借り入れしているローンが無担保かどうかの確認をしましょう。
もし借り入れているローンが無担保ローンであった場合は、住宅ローン特則の対象外となるため、通常の債務と同様に最低弁済額を支払う事になります。
住宅ローン特則が適用されたら
個人再生で住宅ローン特則が適用されても、住宅ローンや有担保のリフォームローンの借金が減額になるわけではありません。
しかし、その他の債務が圧縮されるため、リフォームのために発生した借金の返済に余裕を持って対応する事が出来るようになります。
また、住宅ローン特則の種類によっては、返済期間を最長で10年間延長できることもあります。

まとめ
住宅ローン特則を適用出来るローンには、リフォームローンも対象となります。
リフォームローンが住宅ローン特則の対象となる条件として、抵当権が設定されているかどうかがポイント。
もし無担保のリフォームローンを利用している場合には、住宅ローン特則の対象から外れることになります。
あなたが、現在リフォームローンの返済計画が困難である場合、まずは弁護士や司法書士といった専門家に相談に行くことから始めてみましょう。
プロに依頼をすれば、さらに詳しい情報を得る事に加え、余裕を持った返済計画を立てる事ができるでしょう。