「個人再生をしたら、今住んでいるアパートを追い出されてしまうの?」
「個人再生後は新しくマンションを借りることはできない?」
個人再生をすると借金の負担が軽減する一方、ブラックリスト入りしてしまい、クレジットカードの利用やローンの新規契約が一定期間できなくなるなど、生活に不便な影響を与えます。
では、個人再生をすることによって賃貸アパートやマンションの契約に影響が及ぶことはあるのでしょうか?
本ページでは、個人再生によって現在住んでいる賃貸アパート・マンションを追い出される可能性や、滞納した家賃・光熱費の支払い、個人再生後新たに賃貸アパート・マンションを契約する際の注意点などについてご説明します。

目次
個人再生による現在住んでいる賃貸への影響
個人再生をしたからといって、今住んでいる賃貸アパートやマンションを追い出されることはありません。
家賃さえきちんと支払っていれば、今までどおり住み続けることができます。
家賃をクレジットカード決済にしている場合は要注意
家賃の支払い方法を「クレジットカード決済」にしている人は、個人再生によってブラックリスト入りしてしまい、クレジットカードの使用が一時的にできなくなるので、支払い方法を現金振込みなどに変更する必要があります。
ただし、物件によっては、「クレジットカード決済しか受け付けない」ということもあります。その際は、大家さんに交渉してみるとよいでしょう。
個人再生によって生じる「ブラックリスト」とは
個人再生を行うと、一時的にクレジットカードの使用や新規作成、ローンの新規契約などができなくなります。
これは、個人信用情報に個人再生をした履歴(事故情報)が残り、ブラックリスト入り状態になってしまうことで、クレジットカード作成時やローン契約時に行われる審査に通らなくなってしまうからです。
個人再生の場合、ブラックリスト入り状態になるのは5〜10年程度で、その後は今までどおりクレジットカードの使用や新規作成、ローンの新規契約が可能になります。
⇒個人再生におけるブラックリストを丸裸!載ってる期間は?何ができない?
家賃を滞納している場合は追い出される可能性もある
個人再生を理由に今住んでいる賃貸アパート・マンションを追い出されることはありません。
しかし、個人再生前に家賃の滞納がある場合、個人再生をすることによって今住んでいるアパート・マンションを追い出される可能性があります。
なぜなら、個人再生をすることによって、家賃の滞納分も債務整理の対象となり、支払い額が減額されてしまうからです。
こうなれば、大家さんに支払われる金額が減ってしまい契約違反となってしまうため、契約解除を余儀なくされてしまうでしょう。
また、「どうしても今住んでいるアパート・マンションを追い出されたくない」「大家さんに迷惑をかけたくない」という思いから、個人再生の前後に他のカード会社への返済をせず、優先して家賃滞納分だけを返済してしまうと、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と捉えられ、個人再生に失敗してしまうこともあります。
偏頗弁済とは、ある一部の借金だけを偏って返済してしまうことで、個人再生をする際は債権者平等の原則に基づき禁止されています。
もし、偏頗弁済が発覚すると、個人再生後の返済額が上乗せされたり、最悪の場合、個人再生に認可が降りなくなってしまったりします。
家賃を滞納している物件から追い出されないためには
家賃を滞納している人が個人再生をすると、賃貸アパート・マンションを追い出される可能性があります。
だからといって、他の借金を放ったまま、滞納した家賃だけを支払おうとすれば、偏頗弁済になり、個人再生に失敗します。
個人再生をしても、家賃を滞納した物件に住み続けるためには、滞納した家賃を親族・知人など自分以外のだれかに支払ってもらうのがよいでしょう。
親族・知人からの支払いであれば、自分の資産による支払いではないため、偏頗弁済に該当しません。
また、滞納した家賃をきちんと支払えば、契約違反になることはないため、大家さん側から契約を解除されてしまうこともないでしょう。

個人再生をすることで水道・電気・ガスが止まることはある?
個人再生をしたからといって、住んでいるアパート・マンションの水道・電気・ガスなどライフラインが止まってしまうことはありません。
また、家賃とは異なり、水道・光熱費の滞納は個人再生の対象外です。
そのため、個人再生前に滞納していたとしても、それを原因に契約を解除されてしまうことはありません。
水道・光熱費を滞納していた場合は優先的に支払う
滞納した水道・光熱費は、滞納した家賃と異なり個人再生の対象にはなりません。
したがって、個人再生をしても一切減額されません。
また、滞納した水道・光熱費は他の借金とは異なり、優先的に返済しても「偏頗弁済」と捉えられません。
そのため、完済を目指して優先的に支払います。
個人再生の場合、手続き開始から完了までにおよそ半年かかります。
この間はカード会社からの返済請求がストップしますので、そのうちに水道・光熱費の滞納分を支払ってしまうことをおすすめします。
個人再生後も賃貸契約は可能
個人再生をしたあとでも、新たに賃貸アパート・マンションを契約できます。
「賃貸契約時に行われる審査に落ちて契約できないのでは?」と思う人もいますが、そんなことはありません。
なぜなら、賃貸契約時に行われる審査では、個人信用情報(ブラックリスト入りしているかどうか)は問われないからです。
そもそも不動産屋さんは個人信用情報を見る権限がありませんので、調べようがないのです。
クレジットカード作成時に行われる審査とは、審査内容が異なることを理解しておきましょう。
個人再生が賃貸契約に及ぼす影響とは?
個人再生後新たに賃貸アパート・マンションを契約することは可能です。
しかし、いくつか注意点がありますのでご注意ください。
家賃の支払い方法がクレジットカード決済に限られている物件は借りられない
近年は、家賃未納を防ぎ、振込の手間を省くために、家賃の支払い方法をクレジットカード決済に指定している物件もあります。
クレジットカード決済と現金支払いのうち、どちらかを選ぶのであれば問題ないのですが、「クレジットカード決済のみ」と限定されている物件の場合、個人再生直後の契約はできませんのでご注意ください。
必ず、家賃の現金支払いが可能な物件を選びましょう。
その理由は、前述のように個人再生をすることによって個人信用情報に傷が付き、ブラックリスト入りしてしまうからです。
ブラックリスト入りすると、クレジットカードの使用ができませんので、家賃をクレジットカードで支払うことができません。
個人再生の場合、ブラックリスト入りする期間は5〜10年で、ブラックリストから外れればクレジットカードの使用・作成が再び可能になります。
契約時にクレジットカードの新規作成を求められることもある
不動産屋さんや物件によっては、賃貸アパート・マンションの契約時に指定のクレジットカードの新規作成を求められることがあります。
これは、契約者が過去に個人再生をはじめとする債務整理をしていないかどうかをチェックするためのものといわれています。
審査に落ち、指定のクレジットカードを作成できないと、契約を断られてしまいます。
万一このような要求をされた場合は、残念ですが、他の不動産屋さんや物件をあたってみましょう。
保証人を用いず保証会社を使用する場合は審査で個人再生がバレることもある
賃貸アパート・マンションを借りる際は、保証人を立てるか、保証会社と契約する必要があります。
どちらにするかは物件によって指定することもあれば、あなた自身が選択できる場合もあります。
保証会社を利用する場合、会社によっては独自の信用調査を行い、あなたが個人再生をした事実が知られてしまうこともあります。
この場合、保証会社から契約を断られてしまい、賃貸契約ができなくなってしまいます。
ただし、保証会社がどんな調査をしているかは不動産屋さんもわかりません。
そのため、審査に落ちた理由が本当に個人再生によるものなのか、その他の事情なのかは、審査に落ちたというだけでは判断できません。
もし、保証会社の審査に落ちてしまったら、諦めずに他の保証会社を利用してみるのもよいでしょう。

まとめ
- 個人再生をしても今住んでいる賃貸アパート・マンションを追い出されない
・家賃の支払いがクレジットカード決済の場合は、現金支払いなどに変更すること - 個人再生前に家賃の滞納がある場合、賃貸アパート・マンションを追い出される可能性がある
・追い出されたくないからといって滞納した家賃を偏って返済すると、個人再生が失敗することも
・どうしても追い出されたくない場合、滞納した家賃を親族・知人に肩代わりしてもらう - 水道・電気・ガスは個人再生をしても止められない
・滞納した水道光熱費があったとしても、止められることはない - 個人再生後に新しく賃貸アパート・マンションを契約することも可能
・ただし、家賃の支払いがクレジットカード決済に限られている物件は借りられない
・物件によっては、契約時にクレジットカードを作らせ、ブラックリスト入りしていないか確認することも
・保証人ではなく、保証会社を利用して契約する場合、個人再生を理由に断られることもある