「所有権留保って何?」
「自動車ローン返済中の自動車は手元に残せる?」
自動車ローンを利用して自動車を購入した場合、その自動車の所有権は誰が持つことになるのでしょうか?
また、自動車ローンを完済する前に、債務整理を行った場合、手持ちの自動車に影響が及ぶことはあるのでしょうか?
本ページでは、自動車ローンの仕組みを通じ、「所有権留保」とは何かについて詳しくご説明します。

自動車ローンの仕組み
自動車を購入するときは、自動車ローンを契約することが多いです。
自動車ローンとは、自動車購入時に自動車の代金をローン会社から借り入れ、3〜5年の分割支払いで返済していく借金です。
自動車ローンを利用して自動車を購入すると、後払いで返済が可能なため、購入する際に手元にお金がなかったとしても自動車を手に入れることができます。
自動車ローンを利用して自動車を購入した場合、自動車の引き渡しを受けた段階から自由に自動車に乗ることは可能です。
しかし、自動車ローンが完済できるまでは、所有権はローン会社がもっています。
そのため、自動車ローンを完済するまでは、購入者の意志で自動車を転売したり、処分したりすることができません。
所有権留保とは?
所有権留保とは、自動車ローンが完済されるまで自動車の所有権をローン会社が留保し、自動車を契約者に貸す状態をとることをいいます。
つまり、自動車を自動車ローンの担保に設定しているということです。
自動車ローンを完済することができれば、所有権は購入者に変更されます。
しかし、返済ができなくなったり、返済が滞ったりすると、所有権はローン会社がもっているため、ローン会社が自動車を引き上げ、売却することによって残りの支払い分を回収しようとします。
債務整理と所有権留保
自動車ローンを任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理の対象に含めた場合、自動車ローンの負担が軽減する一方、所有権留保によって、手持ちの自動車をローン会社に引き上げられてしまいます。
そのため、自動車ローン返済中の自動車を手元に残して債務整理がしたい場合は、自動車ローンを債務整理の対象から除外する必要があります。
しかし、個人再生・自己破産は、裁判所を通じた債務整理のため、特定の借金を対象から除外して債務整理を行なうことができません。
そのため、自動車ローン返済中に自動車を手元に残して債務整理をする場合、任意整理を選択するとよいでしょう。

自動車以外に所有権留保が利用されるのは?
なお、自動車ローン以外にも農業・工業などで使用される機器を購入するローンを契約するとき所有権留保が利用されることがあります。
これらの場合も同様に、返済が滞ったり、このローンを債務整理の対象に含めたりすると、所有権留保により、担保にしていた機器を引き上げられてしまいます。
まとめ
- 自動車ローン返済中は車を自由に売却・処分できない
→所有権がローン会社にあるから - 所有権留保とは、自動車ローンが完済されるまで自動車の所有権をローン会社が留保し、自動車を契約者に貸す状態をとること
・自動車ローンが返済できなくなれば、ローン会社に自動車を引き上げられてしまう
・自動車ローンを債務整理の対象に含めた場合も、ローン会社に自動車を引き上げられてしまう