「個人再生をすることで貯金が没収される可能性はある?」
「貯金がいくらあっても個人再生には関係ないの?」
自己破産をすると貯金や持ち家、自動車などを没収されてしまいます。
では、個人再生をした場合も貯金を失うことはあるのでしょうか?
個人再生とは裁判所を通じて行う債務整理の一つで、利息の免除のほか元本を大きく圧縮できます。
本ページでは、個人再生をした場合の貯金の扱いについて詳しくご説明します。

目次
個人再生をすると貯金は没収される?
個人再生は自己破産と異なり財産を没収されないでできる債務整理なので、貯金をまるごと没収されてしまうということはありません。
しかし、貯金がいくらあっても個人再生に全く影響がないというわけではありません。
貯金総額が多いと、借金の圧縮幅が小さくなり、個人再生後の返済額が高額になってしまいます。
以下では、個人再生後の返済額が具体的にはどのように決まるのかについてご説明します。
貯金が多いと計画弁済額が高くなる可能性あり
個人再生後の返済額のことを計画弁済額といいます。
個人再生の種類にもよりますが、最も一般的な「小規模個人再生」の場合、計画弁済額は最低弁済額と清算価値のうち、より高額なほうに設定されます。
最低弁済額とは?
最低弁済額とは、法律によって定められた弁済額の最低基準です。
最低弁済額は、借金の総額別に以下のように決まっています。
たとえば、1000万円の借金を個人再生した場合、借金総額の5分の1まで圧縮可能ということになり、最大で200万円まで圧縮できるというわけです。
清算価値とは?
清算価値とは、あなたの持つ持ち家、自動車、高級品などを売り払った場合の価値と今所持している貯金・現金などを合わせた価格のことをいいます。
たとえば、持ち家や自動車などの財産を売り払った場合の想定価格が200万円で、現在持っている貯金や現金が100万円という人の場合、清算価値は300万円ということになります。
清算価値の算出は複雑で難しいため、弁護士・司法書士などの方の専門家に相談してみることをおすすめします。
貯金が多いと清算価値が高額になる
前述のように、貯金は清算価値に含まれるため、貯金が多い人は清算価値が高額になり、計画弁済額が高額になりがちです。
先程の例のように1000万円の借金を個人再生した場合、最低弁済額は200万円です。
清算価値が200万円以下であれば、200万円まで圧縮することが可能です。
しかし、貯金を含めた清算価値が200万円以上であれば、計画弁済額はさらに高額になります。
前述のように清算価値が300万円であれば、計画弁済額も300万円ということになります。
貯金などの清算価値が高いと計画弁済額が高額になるのはなぜ?
個人再生では、「清算価値保障の原則」というルールに基づき、計画弁済額が清算価値を上回らなければなりません。
このルールは、カード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)をはじめとする債権者を守るために定められています。
具体的には、個人再生をした場合と自己破産をした場合とを比較し、あなたが個人再生を選択した場合でも、カード会社が不利益を被らないために作られたルールといえます。
自己破産をしたときより、個人再生をしたときのほうがより多くの金額を返済するようにしなければなりません。
自己破産では、あなたは持ち家や自動車、貯金などの財産を大方没収されてしまい、それらを売却した金額をカード会社に分配します。
一方、個人再生の場合、持ち家や自動車、貯金などの財産は没収されずあなたの手元に残り、計画弁済額として設定された金額を3年かけて返済していきます。
個人再生の計画弁済額が、自己破産をした場合の弁済額よりも安くなってしまうと、カード会社としては「財産がたくさんあるのに、借金返済に当てないのはずるい」と不満を感じるわけです。
そのため、個人再生では、自己破産と違って財産を手元に残せる分、より高額な返済をカード会社にする必要があります。
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まとめ
- 個人再生をしても貯金は没収されない
・しかし、貯金が高額だと計画弁済額が高額になる - 貯金は清算価値に含まれる
・個人再生の計画弁済額は、最低弁済額と清算価値のうちより高額なほうに設定される
・清算価値とは財産を売り払った場合の価格を想定したもの(自己破産をした場合没収されるもの)
・貯金は清算価値に含まれるため、財産を多く持っていると判断され、計画弁済額が高額になる