「個人再生はどんなタイミングでするべき?」
「タイミングに迷ったときはどうしたらいい?」
個人再生を行うとマイホームを残したまま、利息の免除や元本の圧縮が叶います。
個人再生が間に合わず、手遅れになってしまうと、自己破産をするしかなくなってしまいます。
自己破産をすれば、マイホームを残すことは難しいですし、自動車などその他の財産まで没収されてしまう可能性が高いです。
そのため、適切なタイミングで個人再生を行うことが大切です。
では、具体的に個人再生をすべきタイミングとはいつなのでしょうか。
本ページでは、個人再生をすべき4つのタイミングと、タイミングに迷ったときの解決方法についてご紹介します。

目次
個人再生のタイミング①
住宅ローンとそれ以外の借金を抱えており、それ以外の借金の返済が家計に大きな負担をかけているという人は、個人再生を検討すべきでしょう。
住宅ローン以外の借金とは、いわゆるカード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)からの借金(キャッシング、ショッピングローン、自動車ローンなど)のことです。
これらの借金が以下のような状況にある場合、個人再生を検討することをおすすめします。
返済しても元本が減らないなど完済のめどが立たない
現在抱えている借金を「完済できる見込みがない」と感じたら、早めに個人再生を検討しましょう。
「まだ大丈夫だろう」と先延ばししていると、個人再生では解決できない額の借金を抱えることになったり、家計を圧迫し、生活に支障が出たりして、自己破産を余儀なくされる可能性があります。
たとえば、利息が多くて返済しても元本がなかなか減らないという人や、月々の返済額を捻出できず、他のカード会社借金をして返済に充てているという人は、このままでは完済は難しいと考えてよいでしょう。
3年で完済が難しければ早めに個人再生を行う
カード会社からの借金は、一般的には3年間(36回払い)での完済が目安となっています。
そのため、このまま返済3年間返済を続けても完済しそうにないという場合、個人再生を検討しましょう。
たとえば、1000万円の借金を3年間で完済しようとすると、月々の返済額はおよそ35万円です(利率を15%とした場合)。
「毎月35万円の返済は厳しい」という人は、1000万円を3年間で完済するのは難しいと判断できますので、個人再生を検討するべきでしょう。
借金をすでに滞納している
現在、すでに借金の返済が難しくなり、滞納し始めているという人は、早めに個人再生をすべきといえるでしょう。
借金の返済を滞納すると、利息の他に遅延損害金が発生し、支払うべきお金がさらに多くなってしまいます。
個人再生を行えば、利息と一緒に遅延損害金も免除されますので、これ以上生活が厳しくなる前に個人再生を検討することをおすすめします。
遅延損害金はどれくらいかかる?
遅延損害金とは、借金の返済が期日までにできなかった場合に請求されるお金です。
支払いが遅延した日数によって、日割り計算で請求されます。
利息制限法により利息の利率は15〜20%に統一されていますが、遅延損害金の利率は20%と割高に設定されています。
たとえば、500万円の借金を20日滞納した場合、遅延損害金は以下のように計算できます。
500万円(借金額)×20%(利率)÷365日(1年)×20日(滞納した日数)=約5万5千円
多重債務状態に陥ってしまったとき
複数のカード会社から借金をしている状況のことを「多重債務」といいます。
多重債務状態に陥ると、それだけ利息が多くかかり、借金の返済が困難になってしまいます。
3社以上のカード会社から借金をしている人は、これ以上カード会社を増やす前に個人再生を検討するとよいでしょう。
個人再生のタイミング②
個人再生のタイミングとして考えられるものの1つは、任意整理では借金の解決が難しいとわかったときです。
任意整理とは、借金の利息免除と支払期間の延長を交渉できる債務整理です。
裁判所を通さずに行える債務整理で、対象とする借金を自分で選択できるため、他の債務整理と比較してリスクが少ないといわれています。
しかし、任意整理はその他の債務整理と比較すると借金の減額幅が小さいです。
そのため、借金総額が大きい人や、収入が小さい人の場合、任意整理をしても借金の完済が難しいというケースもあります。
このような場合は、利息の免除だけでなく、元本を圧縮できる個人再生を検討しましょう。
ただし、個人再生は住宅ローンを除く、すべての借金が対象となってしまいます。
自動車ローンのある人は、自動車を没収されてしまうなどのリスクがありますので、ご注意ください。
1000万円の借金を任意整理した場合
たとえば、1000万円の借金をしている人が、任意整理をすると、利息は免除されますが、元本は減りませんので、返済総額は1000万円ということになります。
任意整理では、5年間(60回払い) での完済が一般的ですので、毎月の支払額はおよそ17万円です。
毎月の収入から17万円の返済が可能な人であれば、任意整理でも借金を解決できますが、それが難しければ個人再生も視野に入れて検討しましょう。
個人再生のタイミング③
自己破産はしたくないが借金をなんとかしたいと考えたときは、早めに個人再生を検討しましょう。
自己破産とは、借金の利息・元本がともに免除され、借金が0になる債務整理です。
効力が強い分、その他の債務整理よりもペナルティが大きく、財産の没収などをされてしまいます。
「住宅ローン特則」などの制度もないため、行えば、マイホームも没収されてしまいます。
自己破産をすると、このように生活に関わる影響が生じるため、「自己破産はしたくない」と考える人もいます。
「マイホームを手放さずに借金を解決したい」と考える人は、個人再生を検討しましょう。
ただし、個人再生は借金が0になるわけではないので、個人再生後に圧縮された借金(計画弁済額)を返済できるだけの収入がある人でなければできませんので、ご注意ください。
個人再生のタイミング④
自己破産をしようと思ったが、できないというときも、早めに個人再生を検討しましょう。
実は、自己破産は誰でもできるわけではありません。
自己破産には「免責不許可事由」といって、一つでも該当すると自己破産できない条件があります。
免責不許可事由に当てはまってしまう場合、裁判所に自己破産を認めてもらえなくなってしまいます。
免責不許可事由には、以下のようなものが挙げられます。
<自己破産の主な免責不許可事由>
- 借金の理由がギャンブルや浪費である
- 財産を隠し持っている
- ある一部のカード会社だけに偏った返済をした(偏頗弁済)
- 個人情報を偽ってした借金がある など
免責不許可事由に該当する場合、自己破産ができない可能性が高いので、個人再生を検討しましょう。
また、「自分が免責不許可事由に該当してしまうのかわからない」という人は、弁護士などに相談することをおすすめします。

個人再生の要件(条件)は?
個人再生を行うための要件は以下のとおりです。
借金総額が5000万円以内である
個人再生は5000万円までの借金を抱えている人のための債務整理です。
また、100万円以下の借金は圧縮されませんので、現実的には100〜5000万円の借金を抱えている人の為の債務整理といえます。
住宅ローンを対象から除外し、マイホームを手元に残したまま個人再生できる「住宅ローン特則」を利用する人の場合、住宅ローンを除いた借金総額が5000万円以内であれば、個人再生を行うことができます。
将来、継続して収入がある見込みのある人
前述の通り、個人再生を行う場合は、手続き後借金が0になるわけではないので、継続した支払いが必要です。
そのため、計画弁済額を完済できるだけの継続的な収入があることが要件といえます。
たとえば、1000万円の借金がある人が個人再生をすると、計画弁済額を最大で200万円まで圧縮できます。
個人再生後は計画弁済額を3年間(36回払い)で完済するのが一般的なので、毎月5万6000円程度の返済が可能でなければなりません。
毎月の収入から生活費を引いた額で計画弁済額を返済していけるかどうかが目安となります。
<借金総額ごとの最低弁済額>
なお、計画弁済額は最低弁済額と清算価値のうちどちらか高額なほうに設定されます。
最低弁済額とは、上のように借金総額に応じて法律で定められた、最低限の返済額です。
清算価値とは、その人の持つ財産(住宅・自動車・高級品など)を時価でお金に換金した場合の金額のことをいいます。
財産をたくさん持っている人は、清算価値が高いと判断され、計画弁済額がさらに高額になることもありますので、注意しましょう。
個人再生のタイミングに迷ったら弁護士に相談
借金の状況は人によってそれぞれなので、「自分がいま個人再生をすべきなのかわからない」ということもあると思います。
そこで、少しでも返済が厳しいと感じたら、法律のプロである司法書士・弁護士に相談してみましょう。
近年は、無料初回相談を実施する司法書士・弁護士事務所も多く存在します。有効に活用し、手遅れになる前に少しでも早く行動することが借金解決に繋がります。
⇒個人再生のデメリットは8つだけ押さえておけば大丈夫!!
⇒個人再生の費用相場はいくら?裁判費用と弁護士費用の2種類存在

まとめ
- 個人再生を検討すべき4つのタイミングとは?
・住宅ローンとその他の借金があり、その他の借金が家計を圧迫しているとき
・任意整理では借金の解決が難しいとき
・自己破産はしたくないとき
・自己破産の免責不許可事由に該当する可能性があるとき - 個人再生をするための要件
・借金総額が100〜5000万円であること
・将来、継続的な収入が見込めること - 個人再生のタイミングに迷ったら、弁護士などの専門家に相談